2012年4月24日火曜日

末期乳がん の余命延長の新薬が承認

ドイツで進行性・転移性乳がんの新薬が承認された。

承認されたのは、エーザイにより創製・開発された抗がん剤「HALAVEN」(一般名:エリブリンメシル酸塩)。

複数の抗がん剤治療歴のある局所進行性・転移性乳がん に対して、作用効果を有していると評価された。評価は、ドイツ連邦合同委員会によってグローバル第III相臨床試験であるEMBRACE試験の結果に基づいて行われた。

「HALAVEN(ハラベン)」は、単剤のがん化学療法の抗がん剤としては、世界で初めて治験医師が選択した治療法との比較で、統計学的に有意にがん患者の全生存期間の延長を示したとされる。

進行性・転移性 乳がんの患者に対して、生存期間の延長=余命延長に寄与するとされる抗がん剤新薬だ。

2012年4月23日月曜日

混合診療の規制緩和で抗がん剤新薬

抗がん剤新薬の混合診療が事実上開始される見込みとなった。 2013年4月からの適用を、厚生労働省が認める方針。

抗がん剤新薬(未承認薬)の混合診療 容認は、二段階で進められる。

第一段階は、保険適用外の抗がん剤の使用を医療機関が申請し、国立がん研究センターで 審査され、認定される。「先進医療」として認定されれば、抗がん剤新薬として診察,検査など一般診療部分に保険が適用される混合診療が可能となる。まだ、この段階では、抗がん剤新薬の費用は自己負担だが、「混合診療」が容認されるだけでも、多大な進歩。

第二段階では、その抗がん剤の治療効果を確認されれば、厚労省による正式な薬事承認に先駆けて、抗がん剤新薬の薬剤費も含めて保険適用の対象費用とできる。

抗がん剤は、保険承認の際に治療対象となるがんが指定されている。現行の制度では、保険適用外のがんに使うことは通常はできなかった。抗がん剤は保険が適用できるがんの種類が指定されており、他のがんに使うと治療費が全額自己負担になってしまうのが原則=「混合診療の禁止」だったのだ。しかし、保険適用の範囲を広がることで、肺がん治療薬を卵巣がん治療に新薬として使うなど、がん治療の選択肢が"保険診療内"で広がる。

つまり "承認"と"保険適用"を切り離した制度であるが、これは、米国では、「コンペンディウム」と呼ばれている制度で実際に運営されている。

現状では、保険承認された限られた抗がん剤を使いきると、がん患者は、治療の断念か、多額の医療費を負担化の判断が強いられていた。未承認薬をがん治療に用いると、薬代だけでなく、治療費全てが自己負担になるため、或る意味で 経済格差によってがん治療にも格差が生じてしまっていたのだ。そのため、国内のがん患者団体が規制緩和を強く求め続けてきた経緯がある。

実は、厚労省が混合診療を容認する背景には、国内の製薬会社に新薬を研究/開発される意図がある。医薬品の輸入超過額が、年間1兆円を超えて貿易赤字の主因となってきたために、国内製薬会社による がん新薬の開発が国策として必要となっているからだ。保険制度が改革されることで国内での抗がん剤新薬の研究開発を促され、アジア向けに 抗がん剤新薬等の医薬品輸出を拡大したい意向が反映されている。

多くの抗がん剤は、巨大な資本力で巨額の開発費を費やす欧米の大製薬会社から開発される。しかし、治療対象となるがんが、欧米人に多い肺がん大腸がん を標的にした新薬となりがちだった。一方、日本人、アジア人に多いのは、胃がん卵巣がん であるため、これらのがんに対する抗がん剤新薬の応用研究が遅れているという実情があったのだ。

がん患者の意向に反して、 日本医師会には反対論・慎重論があるそうだが、不可思議な論理と言わざるを得ない。

多くのがん患者と家族にとっては、理由/背景がどうであれ、治療費が抑制できる範囲で抗がん新薬が増え、治療の選択肢が増えることは、 がん克服への可能性が高まる歓迎できる制度だ。

混合診療の早々の規制緩和が待たれる。

2012年4月20日金曜日

前立腺がん新薬、甲状腺がん新薬 へ保険承認

厚生労働省が がん治療新薬を審議し、下記の抗がん剤を新薬として保険承認を了承した。


前立腺がん新薬:
ゴナックス皮下注80mg, 120mg(デガレリクス酢酸塩:アステラス製薬)


「前立腺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。海外55カ国で承認済。
がん細胞の増殖を促す男性ホルモンであるテストステロンの産生を低下させ、腫瘍の増殖を抑える効能。テストステロンの産生に関わるGnRH受容体へのGnRHホルモンの結合を阻害するGnRH受容体拮抗薬である。
4週に1回投与する。

甲状腺がん新薬:
タイロゲン筋注用0.9mg(ヒトチロトロピンアルファ遺伝子組換え:佐藤製薬)


「分化型甲状腺がんで甲状腺全摘または準全摘術を施行された遠隔転移を認めない患者における残存甲状腺組織の放射線ヨウ素によるアブレーションの補助」の効能・効果を追加する新効能医薬品。

なお、今回の審議会では、社会問題化しつつあった懸案の「ポリオの不活化ワクチン」も承認を受けた。

2012年4月18日水曜日

がんの再発メカニズム解明から新治療法

部分的ではあるが、放射線治療後にがんが再発するメカニズムが解明された。

がん が放射線治療後も死なずに再び増殖してしまうのは、低酸素環境でも生存できる特定の「低酸素がん細胞」が原因であると断定された。

この特殊な がん細胞は、血管の周囲のがん細胞が放射線で死滅すると、遺伝子が活性化することで血管の方向へ移動することで死滅せずに生存する性質がある。実験では、治療前のがんには17%しか存在しなかった「低酸素がん細胞」が、 がんの再発時には60%に増えていた。実験では「低酸素がん細胞」を阻害剤で移動抑止すると がんが再発しないことが確認できた。

がん新治療法として、「低酸素がん細胞」に放射線を集中照射する治療法の研究が進行している。

がん再発メカニズムと「低酸素がん細胞」の関与は、京都大大学院の原田浩講師らの

がん細胞を効果的に破壊する光がん治療法

レーザー光線を利用してがん細胞を効果的に破壊できる「光治療法」が開発中だ。

光治療法は、がん細胞が熱に弱く42.5度で死滅する点を利用し、光を浴びると熱を発する物質(光増感剤)を患部に注射した後、レーザーを照射してがん細胞を死滅させる。患部のがん細胞だけを破壊するため、従来の抗がん剤に比べ副作用が少ないのが特徴だ。

しかし、従来の光増感剤が水に溶け難いために人体に吸収効率が悪く、治療効果が落ちる一方で、水に溶け易くすると光増感剤が高価になってしまう問題があった。

そこで、亜鉛フタロシアニンの光増感剤が、太さ数十ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の極細ナノ構造に改良された。

このナノワイヤーは水に溶け易く、人体への吸収率も良好で、光を浴びて発熱する性質も保持していた。さらに、マウス実験でも、がん細胞の除去に成功したとされている。

新光増感剤は、低価格で商用化されればさらに価格が下がるとされ、 がんの光治療法の進展が期待されている。

新光増感剤の研究報告、科学誌『ネイチャー』発行の『NPGアジアマテリアルズ』に掲載された。

骨転移がん に新薬

がん転移の骨破壊を抑制する

がん転移で骨が弱くなる骨破壊の症状を抑える医薬品が発売された。

新薬はバイオ医薬品の一種である抗体薬「ランマーク(一般名デノスマブ)」。4週間に1回の皮下注射されることで、骨を破壊する がん細胞の働きを抑制する。

肺がん乳がんが骨に転移する多発性骨髄腫の患者は骨を壊す細胞の働きが活性化し、骨が弱くなって痛みを感じるなどの症状が起きるが、新薬はこの痛みを抑制する。

第一三共製薬とアストラゼネカが販売する。

2012年4月16日月曜日

核酸の新合成法から肺がん新薬へ

高い治療効果でも副作用が少ない がん治療新薬「核酸医薬品」の新しい製造法が開発された。「RNA干渉」と呼ぶ仕組みで病気の遺伝子を機能しないようにする がん新薬が期待される。

核酸医薬品は病気に関連する遺伝子やたんぱく質の構造に合わせて設計し、化学合成される。従来の製造法では鎖状の分子を多数作り、その中から使えるものを2本選んで絡める工程が必要だった。開発されたのは新合成法では、 合成したRNAはヘアピンのような構造で、1本の鎖状分子を折り畳んだ新技術は従来法の5倍以上の効率化が達成された。

また従来のRNAの問題点だった点も改良された。効果発揮前に体内の消化酵素にRNAが壊される問題を酵素が働かないようにRNAを補強されたのだ。これでRNA構造が免疫機構から見つけにくくなり、免疫反応による副作用が低減された。

新RNA製造法では、コストが大幅に低減され従来の数十分の1になった。

RNAの治療効果は、動物実験で加齢黄斑変性という目の病気にて確認されている。2~3年内には、肺がん,糖尿病性網膜症の新RNA治療薬の治験が開始される。