2012年4月26日木曜日

マイタケ健康食品に臨床試験を実施

まいたけエキスの固形がん(肺がん, 胃がん, 乳がんなど)に対する作用効果を検証する臨床試験が実施される。

今回の臨床試験は、米国テキサス州ヒューストンの、テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター(University of Texas, MD Anderson Cancer Center)で、進行性がん に対して実施される。この臨床試験で確認されるのは、まいたけ抽出物の各種抗がん剤の効能改善と、副作用の軽減作用だ。

具体的には、抗がん剤の「アザシチジン」で がんマーカーが顕在化したがん細胞に対して、免疫を制御する「レナリドマイド」と「まいたけ抽出物」投与し、骨髄細胞の分化増殖促進作用が検証される。さらに、キラーT細胞やナチュラルキラー細胞などの免疫細胞がマーカーを顕在化したがん細胞を攻撃するという免疫調節作用を検証することも目標とされている。

まいたけ抽出物は、ベータグルカンを主成分とした健康食品の一種で、株式会社雪国まいたけが「MDフラクション」として 製造販売している。

「MDフラクション」は10年間以上の基礎研究を経て、 2008年にニューヨークのスローン-ケタリング記念がんセンターで 元乳がん患者を対象としたP-I/II臨床試験も実施している。

株式会社雪国まいたけ では、今回の臨床試験に対して、自社が日米で製法特許を有する マイタケ抽出物の健康食品「MDフラクション」を提供し、治験成果から 統合医療への健康食品の拡販を期待している。

2012年4月25日水曜日

胃がん, 食道がん手術の余分な切除を省く

胃がん、食道がん の生存率を高める病院

食道がんや胃がんでは、がんが粘膜の下の方まで進行していると、多くの場合、手術の適応になる。臓器の一部あるいは全部を切除し、がんの進行度合いによってはその周辺のリンパ節も取り除く。治療ガイドラインで定められている治療法で広く普及しているものの、新たな検査方法が確立されれば、どこまで切除すべきかが客観的かつ科学的に示され、より正確な治療法が確立されることになる。

そんな胃がんや食道がんが、最初に転移しやすいのはセンチネルリンパ節という部分。現在、先進医療として、「センチネルリンパ節生検」という検査方法が行われている。

がん病巣の近くに特殊な色素やラジオアイソトープを注入して、がんが最初にリンパ節に到達するセンチネルリンパ節を同定し、転移の有無を顕微鏡で調べる。この検査は、すでに乳がんやメラノーマ(皮膚がん)に対しては、広く行われている。それを食道がんや胃がんへ応用するために、世界に先駆けて1998年から研究を進めているのが慶應義塾大学病院 一般・消化器外科だ。

慶應義塾大学病院は 先進医療の検査はもちろんのこと、小さな傷口で手術を可能とした腹腔鏡を用いた低侵襲の治療でもパイオニアである。

「胃がんや食道がんに対して、センチネルリンパ節生検を行うと、取り残しや余分な組織の切除を省くことができるなど、さまざまなメリットがあります。ただし、その検査に基づく治療で、本当に従来の手術と同じ生存率を確保できるか。その見極めの研究を行っています」と副病院長と腫瘍センター長を兼務する同科の北川雄光教授(51)は言う。

北川教授は、胸腔鏡・腹腔鏡手術のスペシャリストだ。食道がんや胃がんでも、患者にメリットがあれば胸腔鏡・腹腔鏡による手術を積極的に行っている。また、胃の良性腫瘍の胃GISTや、機能障害の一種・食道アカラシア、逆流性食道炎の手術では、全国に先駆けてヘソのひとつの穴から行う「単孔式腹腔鏡下手術」を導入。熟練した技術とチームワークで、低侵襲で確実に治療できる最先端技術を研究している。

「胃がんや食道がんに単孔式腹腔鏡を応用するには、医療機器の進歩を待たなければなりません。また、将来的には、腹腔鏡下手術と内視鏡の治療を組み合わせることで、臓器の温存がこれまで以上に可能になると思います。しかし、それにもまだ数年かかるでしょう」(北川教授)

腹腔鏡下手術でセンチリンパ節生検を行い、転移が見られなければ、内視鏡による治療で臓器を温存する。それは、これまで内視鏡の治療では、再発するのではないかと考えられた症例に対して、手術によって胃を部分切除するだけでなく、胃を残すという選択肢も広がることになる。

「今後、医療機器などがさらに発達することで、治療方法や検査方法の選択肢は増えるでしょう。しかし、手術で治るがんは再発させてはいけません。それを追求するために取り組むべきことはまだ多い」と北川教授。確実に治るがんを増やすために、今も力を注ぎ続けている。

< 2011年の治療実績 >
☆胃がん治療総数379件
☆胃がん手術件数158件
(内腹腔鏡下手術82件)
☆食道がん治療総数182件
☆食道がん手術件数50件
☆センチネルリンパ節生検64件
☆病院病床数1059床

慶應義塾大学病院
〔住所〕〒160-8582東京都新宿区信濃町35
(電)03・3353・1211

既存抗がん剤の効果を上げる 新治療法

がん治療へ既存薬を用いた「時間治療」が画期的な効果を上げ注目されている。

「時間治療」とは、がん治療に用いる抗がん剤治療薬を「深夜」に投与するだけの治療方法で、抗がん剤は従来と全く同じ。投与する時間を「深夜」へ変えるだけで、 がん患者の生存期間の延長や、関節リウマチのつらい痛みや腫れがおさまるなどの効果が上がっているのだ。

1.5倍の抗がん剤を深夜に投与してがん縮小

健康診断で肝臓にガンが見つかり、抗がん剤治療を受けていた男性も「時間治療」でがん細胞が収縮した。発見時には、ガンが大き過ぎるために手術は無理とされたが、時間治療を導入している病院に転院し、それまでの抗がん剤の1.5倍の量を深夜に投与された結果、数ヶ月後には がん細胞が収縮したのだ。

関節リウマチに対しても、長年苦しんできた70才の女性が、同じ薬を飲む時間を朝昼2回から"夜寝る前の1回に変更"しただけで痛みの症状が軽減された。

このような病状や症状の改善の背景にあるのは、細胞の中で時計のように働く『時計遺伝子』研究の進歩とされる。

「時間治療」は深夜に実施されるために医療スタッフの確保などの課題があるが、がん患者には試す価値が十分にある新治療法と言えるだろう。

2012年4月24日火曜日

末期乳がん の余命延長の新薬が承認

ドイツで進行性・転移性乳がんの新薬が承認された。

承認されたのは、エーザイにより創製・開発された抗がん剤「HALAVEN」(一般名:エリブリンメシル酸塩)。

複数の抗がん剤治療歴のある局所進行性・転移性乳がん に対して、作用効果を有していると評価された。評価は、ドイツ連邦合同委員会によってグローバル第III相臨床試験であるEMBRACE試験の結果に基づいて行われた。

「HALAVEN(ハラベン)」は、単剤のがん化学療法の抗がん剤としては、世界で初めて治験医師が選択した治療法との比較で、統計学的に有意にがん患者の全生存期間の延長を示したとされる。

進行性・転移性 乳がんの患者に対して、生存期間の延長=余命延長に寄与するとされる抗がん剤新薬だ。

2012年4月23日月曜日

混合診療の規制緩和で抗がん剤新薬

抗がん剤新薬の混合診療が事実上開始される見込みとなった。 2013年4月からの適用を、厚生労働省が認める方針。

抗がん剤新薬(未承認薬)の混合診療 容認は、二段階で進められる。

第一段階は、保険適用外の抗がん剤の使用を医療機関が申請し、国立がん研究センターで 審査され、認定される。「先進医療」として認定されれば、抗がん剤新薬として診察,検査など一般診療部分に保険が適用される混合診療が可能となる。まだ、この段階では、抗がん剤新薬の費用は自己負担だが、「混合診療」が容認されるだけでも、多大な進歩。

第二段階では、その抗がん剤の治療効果を確認されれば、厚労省による正式な薬事承認に先駆けて、抗がん剤新薬の薬剤費も含めて保険適用の対象費用とできる。

抗がん剤は、保険承認の際に治療対象となるがんが指定されている。現行の制度では、保険適用外のがんに使うことは通常はできなかった。抗がん剤は保険が適用できるがんの種類が指定されており、他のがんに使うと治療費が全額自己負担になってしまうのが原則=「混合診療の禁止」だったのだ。しかし、保険適用の範囲を広がることで、肺がん治療薬を卵巣がん治療に新薬として使うなど、がん治療の選択肢が"保険診療内"で広がる。

つまり "承認"と"保険適用"を切り離した制度であるが、これは、米国では、「コンペンディウム」と呼ばれている制度で実際に運営されている。

現状では、保険承認された限られた抗がん剤を使いきると、がん患者は、治療の断念か、多額の医療費を負担化の判断が強いられていた。未承認薬をがん治療に用いると、薬代だけでなく、治療費全てが自己負担になるため、或る意味で 経済格差によってがん治療にも格差が生じてしまっていたのだ。そのため、国内のがん患者団体が規制緩和を強く求め続けてきた経緯がある。

実は、厚労省が混合診療を容認する背景には、国内の製薬会社に新薬を研究/開発される意図がある。医薬品の輸入超過額が、年間1兆円を超えて貿易赤字の主因となってきたために、国内製薬会社による がん新薬の開発が国策として必要となっているからだ。保険制度が改革されることで国内での抗がん剤新薬の研究開発を促され、アジア向けに 抗がん剤新薬等の医薬品輸出を拡大したい意向が反映されている。

多くの抗がん剤は、巨大な資本力で巨額の開発費を費やす欧米の大製薬会社から開発される。しかし、治療対象となるがんが、欧米人に多い肺がん大腸がん を標的にした新薬となりがちだった。一方、日本人、アジア人に多いのは、胃がん卵巣がん であるため、これらのがんに対する抗がん剤新薬の応用研究が遅れているという実情があったのだ。

がん患者の意向に反して、 日本医師会には反対論・慎重論があるそうだが、不可思議な論理と言わざるを得ない。

多くのがん患者と家族にとっては、理由/背景がどうであれ、治療費が抑制できる範囲で抗がん新薬が増え、治療の選択肢が増えることは、 がん克服への可能性が高まる歓迎できる制度だ。

混合診療の早々の規制緩和が待たれる。

2012年4月20日金曜日

前立腺がん新薬、甲状腺がん新薬 へ保険承認

厚生労働省が がん治療新薬を審議し、下記の抗がん剤を新薬として保険承認を了承した。


前立腺がん新薬:
ゴナックス皮下注80mg, 120mg(デガレリクス酢酸塩:アステラス製薬)


「前立腺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。海外55カ国で承認済。
がん細胞の増殖を促す男性ホルモンであるテストステロンの産生を低下させ、腫瘍の増殖を抑える効能。テストステロンの産生に関わるGnRH受容体へのGnRHホルモンの結合を阻害するGnRH受容体拮抗薬である。
4週に1回投与する。

甲状腺がん新薬:
タイロゲン筋注用0.9mg(ヒトチロトロピンアルファ遺伝子組換え:佐藤製薬)


「分化型甲状腺がんで甲状腺全摘または準全摘術を施行された遠隔転移を認めない患者における残存甲状腺組織の放射線ヨウ素によるアブレーションの補助」の効能・効果を追加する新効能医薬品。

なお、今回の審議会では、社会問題化しつつあった懸案の「ポリオの不活化ワクチン」も承認を受けた。

2012年4月18日水曜日

がんの再発メカニズム解明から新治療法

部分的ではあるが、放射線治療後にがんが再発するメカニズムが解明された。

がん が放射線治療後も死なずに再び増殖してしまうのは、低酸素環境でも生存できる特定の「低酸素がん細胞」が原因であると断定された。

この特殊な がん細胞は、血管の周囲のがん細胞が放射線で死滅すると、遺伝子が活性化することで血管の方向へ移動することで死滅せずに生存する性質がある。実験では、治療前のがんには17%しか存在しなかった「低酸素がん細胞」が、 がんの再発時には60%に増えていた。実験では「低酸素がん細胞」を阻害剤で移動抑止すると がんが再発しないことが確認できた。

がん新治療法として、「低酸素がん細胞」に放射線を集中照射する治療法の研究が進行している。

がん再発メカニズムと「低酸素がん細胞」の関与は、京都大大学院の原田浩講師らの

がん細胞を効果的に破壊する光がん治療法

レーザー光線を利用してがん細胞を効果的に破壊できる「光治療法」が開発中だ。

光治療法は、がん細胞が熱に弱く42.5度で死滅する点を利用し、光を浴びると熱を発する物質(光増感剤)を患部に注射した後、レーザーを照射してがん細胞を死滅させる。患部のがん細胞だけを破壊するため、従来の抗がん剤に比べ副作用が少ないのが特徴だ。

しかし、従来の光増感剤が水に溶け難いために人体に吸収効率が悪く、治療効果が落ちる一方で、水に溶け易くすると光増感剤が高価になってしまう問題があった。

そこで、亜鉛フタロシアニンの光増感剤が、太さ数十ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の極細ナノ構造に改良された。

このナノワイヤーは水に溶け易く、人体への吸収率も良好で、光を浴びて発熱する性質も保持していた。さらに、マウス実験でも、がん細胞の除去に成功したとされている。

新光増感剤は、低価格で商用化されればさらに価格が下がるとされ、 がんの光治療法の進展が期待されている。

新光増感剤の研究報告、科学誌『ネイチャー』発行の『NPGアジアマテリアルズ』に掲載された。

骨転移がん に新薬

がん転移の骨破壊を抑制する

がん転移で骨が弱くなる骨破壊の症状を抑える医薬品が発売された。

新薬はバイオ医薬品の一種である抗体薬「ランマーク(一般名デノスマブ)」。4週間に1回の皮下注射されることで、骨を破壊する がん細胞の働きを抑制する。

肺がん乳がんが骨に転移する多発性骨髄腫の患者は骨を壊す細胞の働きが活性化し、骨が弱くなって痛みを感じるなどの症状が起きるが、新薬はこの痛みを抑制する。

第一三共製薬とアストラゼネカが販売する。

2012年4月16日月曜日

核酸の新合成法から肺がん新薬へ

高い治療効果でも副作用が少ない がん治療新薬「核酸医薬品」の新しい製造法が開発された。「RNA干渉」と呼ぶ仕組みで病気の遺伝子を機能しないようにする がん新薬が期待される。

核酸医薬品は病気に関連する遺伝子やたんぱく質の構造に合わせて設計し、化学合成される。従来の製造法では鎖状の分子を多数作り、その中から使えるものを2本選んで絡める工程が必要だった。開発されたのは新合成法では、 合成したRNAはヘアピンのような構造で、1本の鎖状分子を折り畳んだ新技術は従来法の5倍以上の効率化が達成された。

また従来のRNAの問題点だった点も改良された。効果発揮前に体内の消化酵素にRNAが壊される問題を酵素が働かないようにRNAを補強されたのだ。これでRNA構造が免疫機構から見つけにくくなり、免疫反応による副作用が低減された。

新RNA製造法では、コストが大幅に低減され従来の数十分の1になった。

RNAの治療効果は、動物実験で加齢黄斑変性という目の病気にて確認されている。2~3年内には、肺がん,糖尿病性網膜症の新RNA治療薬の治験が開始される。

2012年4月13日金曜日

がん4倍増の発がん天然生薬

生薬に 高いがん発症率

世界中で人気の生薬・植物薬「ウマノスズクサ」に発がん物質が含まれていることが、証明された。問題の植物は「ウマノスズクサ」は、果実は馬兜鈴と呼ばれ、咳止め、気管支拡張、去痰に効能、根は「青木香」、「土木香」などと呼ばれ、解毒剤、打ち身、炎症止め、禿の防止、腹痛止めに効果的とされていた。さらには、天然由来の自然ダイエット食品としての利用も近年は増加していた。しかし、今回の研究で、台湾の尿管がん、腎臓がんの半数以上に関連していると結論されたのだ。

台湾での研究対象は、尿管がん患者151人。がん患者の60%にウマノスズクサ生薬に関連する特有の変異が確認され、特にアリストロキア酸の摂取後に腎皮質には特有の病変が発生し、がん抑制遺伝子TP53には特有の変異の兆候が生じたとされる。

台湾では全人口の約3分の1がアリストロキア酸を摂取しており、台湾の尿管がんや腎臓がんの発症率は、アリストロキア酸の摂取が台湾ほど一般的ではない欧米諸国の約4倍だった。

ウマノスズクサ原料の生薬に関して、バルカン半島諸国では1956年にウマノスズクサ属の種子をパンに混ぜ込む習慣が原因でアリストロキア酸による腎障害の発生が指摘されてた。また、ベルギーでは1990年代にアリストロキア酸を含むダイエット減量薬を使用した女性達が、突然に末期状態の腎不全になったと報告された例がある。米国では2001年にアリストロキア酸を含む植物性製品を使用した2人が深刻な腎障害を発症した。米食品医薬品局(Food and Drug Administration, FDA)では既に警告を発している。

ウマノスズクサ生薬が、腎臓がん、尿管がんの原因となっていることは、確実だ。「天然成分、自然由来の生薬・サプリメントなら安全」と思い込む患者は少なくないが、天然由来、自然物の方が、危険な物質、成分が多いことを再認識させられる研究報告だった。

研究は米科学アカデミー(Proceedings of the National Academy of Sciences, PNAS)に発表された。

2012年4月12日木曜日

最新治療装置でがん治療できる病院

がん治療に最新の放射線設備を導入

最新のがん治療機器として放射線治療装置を4台新規導入したのが、東京都立駒込病院(文京区)。最新のがん治療機器でがん患者の治療が劇的に改善されることに期待が膨らむ。

導入された最新治療機器は、脳腫瘍などの治療や肺がんにも適用が進んでいる「サイバーナイフ」を初め、「トモセラピー」と「TM2000(ヴェロ)」と呼ばれる種類の放射線治療装置、さらに手術中に手術室で放射線治療できる設備も一式が導入された。それぞれにの機器に専用の治療室が設置され、専門家や技師が増員される。

3種のがん治療装置は放射線の正常な細胞への照射を減らすことで副作用を最小化するため、効果的にがん組織に大量の放射線を当てることができる。体内の様々な位置で複雑な形状をしているがん患者体内のがん細胞に放射線を照射することで、がんの根治に役立つ最新がん治療機器なのだ。また、がんの再発防止に術後照射や抗がん剤と組み合わせた治療にも活躍が期待される。

最新の放射線治療機器は、がん患者の治療時の負担が軽いだけでなく、追加治療が減り、さらに痛み止め、抗がん剤の量も減らせる。そして、がん放射線治療の最大のリスクだった副作用を大幅に減らせることで、医療費も低減が可能なのだ。

これらの最新の放射線治療装置を3種類揃えた病院は全国でも稀。東京都では、がんやエイズ診療の中核病院と位置付け、都民だけでなく全国からも がん患者の受け入れる意向だ。

東京都は都立病院の再編と施設の老朽化に対応するため、民間資金を2008年から活用することで駒込病院に大規模な改修工事を施した。改装後は手術室が9室から15室、内視鏡室が7室から10室に増やされた。通院治療用の病床数は26床から50床に増床、病床数は801床になったことで、1日当たり1300人の外来患者が見込まれている。

がん治療は最新機器の病院で受けることが副作用は最小化、治療効果は最大化できる。

がんリスクが女性に高い食品

海藻食べ過ぎでがんリスク増の理由

女性の海藻の食べ過ぎはがんリスクを高めることが研究調査で実証された。国立がん研究センターと国立環境研究所の合同研究チームが20年近く追跡調査し、結果を纏めた。(詳細は欧州のがん専門誌に発表)


研究調査では、1990~2007年の長期間に対して、 40~69歳の女性約5万人を対象として追跡調査を実施した。調査開始後に甲状腺がんを発症した閉経後の女性は111人で、海藻をほぼ毎日食べる女性は、週2回以下の女性に比べて2.4倍がんリスクが高いことが判明したのだ。甲状腺がんの一種である乳頭がんでは、3.8倍の差が確認された。


閉経後の女性が海藻を過剰摂取すると、甲状腺がんのリスクが高まることが明白になったと言えるだろう。


がんリスクの原因は海藻に含まれるヨウ素の過剰摂取であると分析されている。実は、ヨウ素は必須栄養素の一つであり、ヨウ素が不足すると皮膚の乾燥やひび割れ・しゃがれた声、皮膚の浮腫、精神異常などの症状が懸念される。しかし、日本人の食文化の性質上、ヨウ素が過剰摂取される傾向は強いのだ。


必要だけれど"過剰摂取"が、ヨウ素のがんリスクだという認識が妥当だろう。

2012年4月10日火曜日

培養NK細胞療法が がん治療臨床開始

培養免疫細胞を用いたがん治療の臨床研究

培養したナチュラルキラー細胞(NK細胞)による がん免疫細胞療法の臨床研究が開始される。特殊技術で培養したNK細胞を末期の消化器がん(胃がん, 大腸がん, 食道がん) の患者に投与して、がん治療効果と安全性が評価される。

ウイルス感染や細胞のがん化から生体を防御する働きがNK細胞にはある。特殊な培養法で培養したT細胞を利用することで、約90%と高純度のNK細胞を大量に培養する技術が開発され、純度の高い免疫細胞によるがん免疫細胞療法が可能になった。既にマウスを用いた動物実験では、がん縮小と転移抑制に高い効果があることが確認されている。

臨床試験は、2014年3月31日まで約2年間実施の予定。試験の実施は、タカラバイオと京都府立医科大学が共同であたる。

培養免疫細胞を用いたがん免疫細胞療法の効果が検証されれば、次には、NK細胞だけでなく、ナイーブT細胞、抗体医薬との併用でさらに効果的な治療法が検討されている。

がん治療に有効な糖尿病薬

糖尿病治療薬、がんに有用の可能性

糖尿病の治療薬「メトホルミン」(商品名「メトグルコ」など)が、多くのがん患者に対して有用性を示す研究成果が発表された。糖尿病とがんに密接な関連があることは既知であり、メトホルミンを使うことで糖尿病患者のがん発症が抑制されるという研究結果は、主に大腸がんを中心に報告されてきた。今回の発表では、膵臓がん、前立腺がん、肝臓がん、口腔(こうくう)がん、メラノーマ(悪性黒色腫)と、種類の異なるがんに対しての有効性が検証され、結果が得られた とされている。

膵臓がんに対しては、メトホルミン使用により32%の死亡リスク低下が得られた。前立腺がん患者への安全性を確認が確認された。また、肝臓がんへの投与では、保護的作用の可能性が示唆された。さらに、口腔がんへの進展は最大で90%も抑制されたのだ。

メトホルミンと抗がん薬の併用療法が、治療後の経過があまり良くないメラノーマに対する新たな選択肢となる可能性は高まっている。

研究論文は、3月末の米国がん研究協会(AACR)へ発表された。

がん治療に有効な糖尿病薬

糖尿病治療薬、がんに有用の可能性

糖尿病の治療薬「メトホルミン」(商品名「メトグルコ」など)が、多くのがん患者に対して有用性を示す研究成果が発表された。糖尿病とがんに密接な関連があることは既知であり、メトホルミンを使うことで糖尿病患者のがん発症が抑制されるという研究結果は、主に大腸がんを中心に報告されてきた。今回の発表では、膵臓がん、前立腺がん、肝臓がん、口腔(こうくう)がん、メラノーマ(悪性黒色腫)と、種類の異なるがんに対しての有効性が検証され、結果が得られた とされている。

膵臓がんに対しては、メトホルミン使用により32%の死亡リスク低下が得られた。前立腺がん患者への安全性を確認が確認された。また、肝臓がんへの投与では、保護的作用の可能性が示唆された。さらに、口腔がんへの進展は最大で90%も抑制されたのだ。

メトホルミンと抗がん薬の併用療法が、治療後の経過があまり良くないメラノーマに対する新たな選択肢となる可能性は高まっている。

研究論文は、3月末の米国がん研究協会(AACR)へ発表された。

微小な転移がん の新治療法

進行した胃がん治療では、胃がん患部を手術で切除しても転移・再発することが多く、術後5年間の生存率は約30%と低いことが問題だった。がん再発の原因の6割以上は、腹膜へのがん転移とされていた。転移したがん病巣が非常に微小なために、手術時に肉眼で見つけ、切除することが困難だったからだ。

しかし、胃がんから転移した肉眼では見えないほどの小さな転移がんを、容易に発見する手法が開発された。蛍光物質で微細な転移がんを光らせて発見が容易になったのだ。この腹腔鏡で早期に見つけ治療する新治療法開発は、大阪府立成人病センターが開発に成功した。

新胃がん治療法では、蛍光物質を投与することで微小な転移がんを赤く光らせる。小さながんでも転移を早く発見できため効果的に抗がん剤治療が可能なのだ。

胃がんだけでなく、転移癌に悩む多くの患者を救える新しい治療法となる期待は大きい。

2012年4月9日月曜日

遺伝するがんの予防と治療法、予防切除とは

乳がん、早期発見で治療に選択肢

検査で予見する遺伝性乳がん、卵巣がんに予防切除の選択肢も

遺伝子で予見されるがんがある。遺伝の影響を強く受ける乳がん、卵巣がんだ。「遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)」と呼ばれ、特定の遺伝子を検査することで、がんの発病リスクの高低が測られる。

乳がんと卵巣がんの遺伝性HBOCは、BRCA1、BRCA2という二つの遺伝子の変異で測られる。海外での研究報告では、BRCA1に変異があると約40%の人で、BRCA2の変異では約10%には、 70歳までに卵巣がんを発症するリスクが高いと報告されている。乳がんリスクに関しては、BRCA1で約65%、BRCA2で45%だ。女性だけでなく、男性のHBOCに関しても、 男性乳がんや膵臓がんのリスクが高まると報告されている。

日本では女性の20数人に1人が乳がんを発症するが、その5~10%程度が遺伝で乳がん、卵巣がんを発症していると言われている。 200人におおよそ1人の確率は、かなり高いリスクだ。

しかし、近年は事前に遺伝子の検査を受けることで、 HBOCの遺伝子に変異が無いか調べる検査を受けることができる。この遺伝子検査は保険対象外のために、20数万円の自己負担が必要。

もしこの検査で遺伝子の変異が発見された場合には、 3カ月~半年おきに検診を受けることで、がんのリスクをコントロールすることになる。がんリスクが高いことを自覚して、早期発見早期治療に努めるのだ。
乳がんリスクに関しては、早期発見が比較的容易なために治療の選択肢が多い。

ところが、卵巣がんは自覚症状が少ないために、発見後の治療が難しい例が多い。そこで、健康な卵巣を手術で切除することも、選択肢の一つとされている。国内でも、一部の病院でこの予防的な卵巣摘出手術を行っている。ただし、この手術に保険は適用されないので、自費で80万~100万円を負担せねばならない。

HBOCの遺伝子検査は、2011年末までの8年弱で、国内では約500件の検査が行われた。 HBOCの可能性があると分かれば、専門医がいる病院では、医師や認定遺伝カウンセラーが、遺伝カウンセリングの外来で治療の選択肢だけでなく諸々に患者の相談に応じてくれる。

遺伝子を調べた結果が「BRCA1遺伝子に変異あり」とされたことで、乳房の全摘を決断した女性もいる。姉妹を卵巣がんで亡くしていたために、さらに卵巣の切除も希望したが、主治医から諭された。その後は、3カ月に1度、超音波と血液で卵巣がん検診を継続している。

遺伝子検査でがんリスクを測る技術が進歩したことで、がん患者個々のがんリスク管理とメンタルケアの重要性が増してきている。遺伝子検査とがん治療は、カウンセリング態勢が整った病院で受けるのが賢明な理由でもある。

2012年4月6日金曜日

がんの激痛原因物質を解明

がん患者の神経損傷による激痛の原因特定

がんや糖尿病による慢性的で激しい痛みは「神経障害性疼痛(とうつう)」と呼ばれ、発症の仕組みが判らず、治療法も無かった。しかし、ついに神経障害性疼痛の原因が解明された。この神経が損傷して起きる慢性的な激しい痛みの原因は、特定のたんぱく質が原因だったのだ。発見したのは、九州大の井上和秀教授と津田誠准教授らの研究グループ。

研究では、神経が損傷して慢性的な激しい痛みを起こすモデルマウスの脊髄を詳細に観察した。そして、「インターフェロン調節因子8(IRF8)」というたんぱく質が、免疫を担う細胞「ミクログリア」の中でだけで急激に増えることを発見したのだ。つまりIRF8の大量に発生がミクログリアの活動を活性化してしまうことで、神経細胞を異常に興奮させる様々な生体分子を放出され、患者に痛みを生んでいることが判った。
がん患者が悩まされてきた「神経障害性疼痛」は服が肌に触れただけでも痛みが発生する程の痛みだが、タンパク質IRF8を生成できない改造マウスでは、痛みの度合いが50~60%も抑えられたのだ。

神経障害性疼痛の患者は、がんや糖尿病で世界で2千万人以上も存在するが、。これまで有効な治療法が無かった。今後は、がんや糖尿病に対しても、特定されたたんぱく質IRF8の働きを抑える新薬が開発されることで、がん患者の痛みが大幅に緩和される可能性が高まった。

研究成果は5日付の米科学誌「セル・リポーツ」電子版に発表。

2012年4月5日木曜日

免疫システムが がん細胞を正確に攻撃

がん患者の悩みには、手術や抗がん剤治療などを受けても「他の治療法がない」「副作用がつらい」など、治療の悩みを抱えている患者が多い。最新のがん治療法として、自己免疫力を高めることでがん細胞を攻撃する「がんワクチン」治療を受ける患者が増えている。 2011年ノーベル医学・生理学賞を授与された「樹状細胞の発見とその働き」をがん治療に利用しているのだ、

この「樹状細胞」は、がん細胞に目印を教えることで、がん細胞を攻撃する役割のリンパ球が正確にがんを攻撃するように指令を出す。がん攻撃免疫システムの司令官役と言えるだろう。

「樹状細胞」を用いた新しいがん治療法は、テレビや新聞などのマスコミでも注目を浴びつつあり、その「樹状細胞」を利用したがん治療には高い関心が寄せられている。

樹状細胞を用いたがんワクチン治療は、正式には「樹状細胞ワクチン療法」と呼ばれる。治療対象となるがんは、大腸がんや胃がん、肺がんなど、幅広い部位のがんを治療できる。免疫細胞は、がん細胞だけを攻撃するため、正常な細胞はほとんど傷つけない。つまりは、副作用が少ないのが最大の特徴なのだ。

2012年4月4日水曜日

肺がん新薬の作用と効果

肺がん新薬の製造販売が国内で承認された。

新薬は、2007年に発見された肺がんの原因遺伝子「EML4-ALK」を攻撃する、いわゆる分子標的薬だ。新しく承認されたのは、新治療薬「ザーコリ」(一般名クリゾチニブでファイザーから販売)。この新薬は、消化器がんの治療薬として開発されていたが、肺がんの原因遺伝子「EML4-ALK」に作用することが判明したために、抗がん対象を肺がん へ変更して、治験に成功した。厚生労働省が2012年3月30日に新薬として承認。

肺がん新薬 ザーコリ(一般名クリゾチニブ)は、 「EML4-ALK」を持つ患者の約90%に顕著な効果があったとされる。まさに、肺がん特効薬と言える著効をもたらすこの肺がん新薬は、原因遺伝子EML4-ALKを持つ患者に対しては、今後10年で全世界で50~60万人の命を救うと予測されている。 ただし、分子標的薬の常として薬の攻撃対象となる原因遺伝子を持ったがん患者には高い効果があるが、 原因遺伝子の無いがん患者には副作用のみで効果は皆無なのだ。その点は、新薬による治療前に遺伝子検査を実施することで、適用の有無を事前確認し、無用の治療と副作用を回避することができる。

多くのがんに特定の原因遺伝子が続々と発見されている。数年後にはその原因遺伝子を叩く分子標的薬=がん特効薬が開発される期待は大きいのだ。

すい臓がん手術と合併症

「膵臓がん」は、国内で年間2万8000人以上の命を奪っている。胃や大腸などの他の臓器と違い、腫瘍の発見が遅れがちで、また悪性度が高いため最も治療が困難ながんなのだ。

一般的に膵臓がん診断後の手術適用は2割程度。その手術も、膵臓が他臓器や太い血管と神経に隣接しているため非常に難易度が高い。一歩間違えば患者は術中に命を落とし、一見うまくいったかに見えた術後にも激しい下痢や栄養不良に悩まされるといったことも起こる。膵がん患者の命とQOL(生活の質)を確保することは非常に困難なのだ。

膵臓がんは、診断された時点で局所に がん が留まっていることが少なく、他臓器へ転移しているゆえに、いわば全身病なのだ。しかも、膵臓がんには有効な抗がん剤が少なく、また他のがんで効果のある分子標的薬も、有望な新薬はまだ登場していない。

さらに、がん患者が高齢で合併症を持つ症例も多いため、さらに難易度は高まってしまう。
大腸がんなどによる転移性肝がんや原発性肝がん、胆管がん、胆嚢がんの手術も積極的に行っている経験ある病院・医師による治療が重要でなのだ。

2012年4月3日火曜日

がん再発原因の発見から新薬開発へ

がん再発防止にがんが生き残る仕組みを解明

従来のがん治療は抗がん剤地路湯や放射線治療によって、がん細胞を死滅させた。しかし、がん幹細胞が生き残れば、がん細胞が再び増殖することが多く、がん患者は常にがん再発に脅かされていた。がん再発の原因は、がんの基で体内でがん細胞を造り続ける「がん細胞」の存在だ。乳がんが治療の10~20年後に再発する原因は、抗がん剤も放射線も効かないがん幹細胞が存続し続けているからなのだ。

今回は、体内のがん幹細胞が生き残るのに必要なタンパク質を自ら分泌していることが発見された。発見された「ヘレギュリン」と呼ばれるたんぱく質が 細胞膜に付くと、がん細胞内の遺伝子に信号が伝わり、NFκ(カッパ)Bという物質が増加し、がん増殖やがん転移に適した環境を整えていた。

抗がん剤や放射線治療でもなかなか死滅しないがん細胞では、この特定のたんぱく質が細胞膜にくっつき、がん増殖やがん転移、がん再発を引き起こしていると断定された。実際に再発率の高い乳がん患者ではヘレギュリン濃度が高い傾向があることは既知だった。

この 特定のタンパク質が がん細胞が体内で増殖能力を維持する仕組みを妨害できれば、革新的な新しい乳がん治療新薬が開発できだけでなく、がんの再発をも高い確率で防止できる可能性が高まった。

東京大医科学研究所の後藤典子准教授(がん生物学)らのチームが乳がん患者から摘出したがん細胞を培養し、発見した。研究論文は、2日付の米科学アカデミー電子版に発表された。

がん分子標的薬を継続する方法

分子標的薬は、がん細胞を増やしたり、がん組織に血管を引き込んだりする特有の分子(主にタンパク質)の機能を止めることで、がんの成長を抑える新しい概念のがん治療薬の総称。大腸がんの治療に対しても、がん増殖に関わるタンパク質の働きを抑える分子標的薬が、四年前から複数登場。手術が難しいがん再発がんの治療に使われ、生存期間の延長に著しい効果が得られている。特定の分子を狙うため、がん細胞の遺伝子のタイプによって効果の有無が違う。

がん細胞だけ狙って攻撃する新しいがん治療薬「分子標的薬」は、大腸がんや肺がんなどのがん患者への治療効果が極めて高く、新薬も相次いで登場している。
がん治療に用いられる分子標的薬の特徴は、従来の抗がん剤のように正常細胞にも打撃を与えることで脱毛や吐き気などの副作用を起さないこととされていた。がん細胞に特有の分子をピンポイント攻撃することで、がん細胞の成長を止めたり、殺したりするからだ。

しかし、分子標的薬は、まだ発展途上であることから、皮膚細胞など正常な細胞も一部攻撃してしまうことは、知られていない。分子標的薬特有の副作用が出やすい薬も複数あり、慎重な治療対策が課題になりつつある。
副作用の多くは、分子標的薬の標的となるタンパク質が皮膚や爪を作る細胞にも存在するため発生する。皮膚や爪の細胞も同時に薬の攻撃を受けてしまい、皮膚などに炎症が出るのだ。副作用の例としては、腎臓がんや肝臓がんの分子標的薬ネクサバールは、手足の皮膚が腫れて痛む「手足症候群」が出やすく、慢性骨髄性白血病の分子標的薬グリベックは、かゆみを伴う赤い発疹が出やすい。

分子標的薬の副作用で最も多いのは、顔などに出るにきびのような発疹。新しい皮膚がうまく作れないため皮膚が薄くなって乾燥することで、かゆみがひどくなったり、指先が割れて痛む。酷い場合には、手足の爪の周りが腫れ、靴を履くことや手仕事が難しくなる場合さえある。副作用の増悪は抗がん剤治療の継続可否にも影響を及ぼす。
しかし、皮膚障害の治療法はほぼ確立されているので、早めに正しい処置で対処することで治療継続は可能だ。にきびのような発疹には炎症を抑える効果のミノサイクリンなどの内服抗生剤やステロイドの塗り薬が有効。適切な薬や保湿剤を使ったスキンケアに努め、日焼け止めや、炎症を抑えるステロイド薬を塗ることで、皮膚障害の重症化を防ぐことができる。また、爪の周囲に炎症が起きた場合には、皮膚科医によるテーピングが痛みを和げる。
足が腫れて痛みのある場合には、履物選びでも症状が改善し、がん患者の生活の質が大幅に上がることもある。

症状が出てから対応するのではなく、分子標的薬の治療を開始する前日から内服抗生剤を飲むことが重要なのだ。

「分子標的薬は、皮膚障害が強いほど生存期間が長い」との研究報告も複数ある。がん治癒に対する抗がん剤の効果を最大化するためにも、副作用を抑えることは軽視できないのだ。