2016年3月22日火曜日

世界初、胃がん原因の細菌とウィルスを特定

胃がん発病の主原因の疑いが大きかったピロリ菌が出す有害物質が、特定された。
さらに、その有害物質の発ガン活性を抑制する物質と、このがん抑制物質を邪魔してしまうウィルスも発見された。

ピロリ菌が出す発がん性物質は「タンパク質CagA」。
この発ガン物質CagAはピロリ菌によって産出され、胃の細胞内に注入されることで、
胃がんが発症する原因となる。しかし、酵素の一種である「タンパク質チロシンホスファターゼ(SHP1)」が胃の中にあれば、発ガン物質CagAの発ガン活性が抑制されるのだ。

しかし、この酵素SHP1のがん抑制機能も、「EB ウイルス(エプスタイン・バール・ウィルス)」というウィルスが存在すると、働きが鈍くなってしまう。

胃がんを予防・抑制するためには、「ピロリ菌」を除菌し、「EBウィルス」を駆逐することが有効であると判明した。

胃がんの発症に際して、がん細菌と発がんウイルスが連携している事実を解明したのは世界初で、東京大学と千葉大学による共同研究の成果とのこと。

近い将来に有用な胃がん予防薬や治療薬へ応用されることが期待される。

2016年1月31日日曜日

がん細胞だけを駆逐できる最新放射線治療

副作用の無い最新の放射線がん治療法の最終の臨床試験(治験)が開始される。

開発された新がん治療法は「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」。従来の放射線治療は、放射線をがん細胞へ照射しても周辺の正常細胞までも痛めてしまうために副作用が必ず発生した。しかし、新しい治療法では、患者へ照射するのは体への影響が少ない「中性子線」なのだ。「中性子線」ではがん細胞も正常細胞もほとんど傷つかない。

新治療法は、がん細胞に取り込まれやすいホウ素薬剤が、中性子が当たると核分裂し、放射線を発する現象を利用している。この放射線は細胞一個分程度の範囲を出ないため、がん細胞だけが放射線で駆逐されるのだ。

ホウ素薬剤を癌患者に点滴すると、がん細胞へ薬剤が取り込まれ、そこに中性子が照射されるとがん細胞内部から放射線が発生し、癌細胞が死滅する。これだと正常細胞はほとんど傷つかないことから、副作用も殆ど発生しないのだ。治療対象のがんは、脳腫瘍をはじめ、将来的には、肺がん、胃がん、前立腺がん、大腸がん、子宮がん、あらゆるがんの治療を目指している。

実際のがん患者への治験は、国立がん研究センター中央病院(東京都)、総合南東北病院(福島県)、大阪医科大(大阪府)の3病院で2016年1月から開始される。

治験では、悪性脳腫瘍を再発したがん患者へ新治療法が実施される。その結果から、治療効果を検証し、早ければ5年後に入院費などの一部に保険を使うことができる「先進医療」の認定を目指すという。

副作用の無い新がん治療法への期待が高まっている。