新しいがん治療法として期待が高まっている 「がんペプチドワクチン治療」 の臨床試験が開始される。
治験対象は、治療が困難とされる食道がんと 膵臓がん患者で、各40人に対して、 新治療法の臨床試験が実施される。
新薬のペプチドワクチンは、 がん患者自身の免疫力を活用する新治療法。 がん細胞を攻撃する免疫細胞のリンパ球が、 がん細胞の表面に発現する特有のペプチドというアミノ酸化合物をがん細胞攻撃の目印にする性質を利用している。ペプチドを体外で人工的に合成して投与し、リンパ球を増殖させてがんを治療する。 現在のがんの3大療法とされる外科手術、抗がん剤化学療法、放射線療法による治療が困難ながん患者に対する、第4の治療法として期待が高まっている。
今回の新薬の臨床試験が最も特徴的なのは、全国で初めて、その費用が寄付で賄われることだ。
治験に要する費用を、 がん患者団体 「市民のためのがんペプチドワクチンの会」として、全国から寄付金を募集するのだ。 寄付金の目標は、3年間で3000万円。
ペプチドワクチンによるがん治療は、製薬会社主導での効果検証も進んでいるが、白血球の抗原が多い患者だけを対象としている。今回の治験では、日本人では少ない部類に入る特殊な抗原タイプのがん患者も治験の対象とすることも注目されている。
食道がん、すい臓がんに対するがんのペプチドワクチンは、既に安全性確認の段階を終了し、一日も早い新薬の完成が待たれている状況なのだ。