2012年7月24日火曜日

再発・難治性リンパ腫へ新薬治療が承認

悪性リンパ腫治療薬の新薬「ADCETRIS(一般名:ブレンツキシマブ ベドチン)」が、欧州医薬品庁から条件付ながらも販売承認を推奨する見解を取得した。

ADCETRISは、古典的ホジキンリンパ腫と全身性未分化大細胞リンパ腫を治療対象としており、それぞれのリンパ腫に発現するCD30抗原を標的とした抗体薬物複合体だ。今回、条件付き販売承認を推奨された効能・効果は、下記の2点。
(1)自己幹細胞移植後、または、自己幹細胞移植や多剤併用化学療法が適さず少なくとも2種類以上の治療を実施した、成人の再発・難治性のCD30陽性ホジキンリンパ腫
(2)成人の再発・難治性の全身性未分化大細胞リンパ腫

再発・難治性のホジキンリンパ腫の治療においては30年以上にわたって新薬が承認されておらず、新薬が待望されていた。 ADCETRISは再発・難治性のホジキンリンパ腫および全身性未分化大細胞リンパ腫の治療に貢献すると期待されている。

「 条件付き販売承認」とは、生命を脅かす病気に対して有望と考えられる薬剤を、患者さんへのベネフィットが正式に証明される前であっても、予備的証拠に基づき承認し販売可能とするEMAの制度である。

今後、新薬「ADCETRIS(一般名:ブレンツキシマブ ベドチン)」は、欧州委員会(EC)で審議され、正式な承認を取得した後、まずは欧州27カ国で販売可能される予定。

2012年7月20日金曜日

抗がん剤新薬でがん細胞が100分の1に減る

悪性脳腫瘍「グリオブラストーマ」の再発を抑える効果の抗がん剤新薬が、マウス実験で発見された。

脳腫瘍の中でも「グリオブラストーマ」は治療が困難とされており、外科手術、放射線治療や抗がん剤で初期治療が成功しても、がんが再発する場合が多いことが問題だった。

しかし、腫瘍を作り出すがん幹細胞の維持に必要な分子に着目し、この分子の機能を抑える効果のある薬剤をマウスと投与したところがんが抑制されたのだ。

実験では、腫瘍を脳に移植したマウスに対して、この抗がん剤新薬を5日間投与した。すると、腫瘍の中のがん幹細胞は10分の1以下に大幅に減少した。さらに、がん幹細胞を脳に移植したマウスでは、10日間の薬剤投与によって、 がん幹細胞を10分の1~100分の1以上に激減させる効果があったのだ。しかも、脳の機能には影響が無く、生存期間も延長することができた。

脳腫瘍の抗がん剤新薬は、山形大と国立がん研究センターの研究チームが開発し、今後は治験への期待が高まっている。

研究論文は、英科学誌サイエンティフィック・リポーツへ発表された。

2012年7月19日木曜日

高分子ポリマーカプセル封入の抗がん剤新薬が最終治験開始

乳がん、非小細胞肺がん卵巣がん、胃がん治療用の抗がん剤新薬「NK105」が、転移・再発乳がんを対象に実用化の最終段階である第III相比較臨床試験を開始した。

既存の卵巣がんや非小細胞肺がん、乳がん、胃がんの治療向け抗がん剤 「パクリタキセル」が世界的に普及しているが、抗がん剤自体の副作用だけでなく、製剤化の際に使うアルコールを基にした特殊な溶媒が原因の副作用も生じる欠点があった。

新開発の抗がん剤新薬「NK105」は、「パクリタキセル」を高分子ポリマーのカプセルに封入したミセル化ナノ粒子製剤であるため、課題であった副作用が大幅に軽減できる特徴がある。

乳がん向けの新薬として承認後は、卵巣がん、肺がん、胃がんへの新薬申請・承認も順次に実施される見込みだ。

2012年7月18日水曜日

肺腺がん発症遺伝子の新発見から進展

肺がん患者の大部分を締める肺腺がんの発症に関わる2種類の遺伝子が新たに発見された。過去の調査でも2種類の肺腺がん発症遺伝子が発見されており、今回で発見された肺腺がん遺伝子は合計4種類となった。

発見したのは、国立がん研究センターと理化学研究所のグループ。約2万人を対象としたゲノム(全遺伝情報)解析で導き出した。

ゲノム解析の実施対象となったのは、日本人の肺腺がん患者6029人と発症していない1万3535人。その結果、すでに発見されている2遺伝子以外にも、「BPTF」と「BTNL2」という遺伝子領域で肺腺がん患者に特徴的な塩基配列が見つかったのだ。 BPTFは細胞のDNAの複写機構に、BTNL2は免疫の制御機構に関わる遺伝子として知られている。

肺がんの一種である肺腺がんの発症には、喫煙以外に遺伝的な要因が深く関与しているとされており、肺腺がんの原因解明へ期待が大きかった。 がんの原因となる遺伝子が特定されたことで、遺伝子標的薬の開発が進展し、肺腺がん特効薬が開発される可能性が高まってくるだろう。

新開発ペプチドで効果の高い新治療法へ

副作用の少なく、がん細胞だけに効く抗がん剤新薬へ、大きな発見がなされた。

開発されたのは、がん細胞だけに吸収される物質「CPP44」。 CPPはペプチドの一種だが、従来のペプチドは、がん細胞、正常細胞の区別無く染み込む性質だった。しかし、新開発されたCPP44ペプチドは、肝臓がんと白血病のがん細胞にのみ大量に吸収される性質を持つ。肝臓がん白血病以外の細胞にはほとんど吸収されないのだ。このような性質のペプチドが人工的に作られたのは世界で初めて、この性質を抗がん剤へ流用することで、副作用を低減し、効果を画期的に高められる期待が高まっている。

実施されたマウス実験では、腫瘍の大きさが半分以下になるの成果が確認された。

これまでは、副作用の多寡が抗がん剤の最大の問題だったが、このペプチドを活用するできれば、がん細胞にだけ効果のある抗がん剤の開発が可能になる

つまり、副作用が少なく、効果の高い新しい抗がん剤が続々と開発されうるのだ。

がん細胞だけに効くペプチドを世界で初めて開発したのは、愛知県がんセンター研究所と琉球大の研究グループ。論文は、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表された。

2012年7月17日火曜日

がん細胞の栄養遮断で がん増殖抑制する新治療法

がん患者の体内に活性酸素を過剰に蓄積させて、がん細胞の増殖を抑制する新しいがん治療法が開発された。

新しいがん治療法として注目されているのは、活性酸素の毒性を逆手に取り、目的の部位だけに活性酸素を蓄積させることでがん細胞の増殖を防ぐ治療法。

通常では、活性酸素の蓄積は細胞の老化などを引き起こすため、体内には活性酸素を取り除く仕組みがある。一方で、がんの増殖にはがん細胞へ栄養を供給する新生血管が関与していることが知られている。この新生血管では活性酸素を消去する役割を果たす「毛細血管拡張性肉芽腫変異(Atm)遺伝子」が活発に働いていることを発見したのだ。そして、Atm遺伝子の活性化を阻害すれば、新生血管に活性酸素を蓄積させ、がん細胞への栄養を遮断するがん増殖抑制法とできる。

新治療法では、がん細胞に酸素や栄養を供給する新たな血管網(新生血管)を維持できないよう遺伝子操作した。既にマウス実験では 新治療法によるがん増殖の抑制に成功している。

新治療法を開発したのは、慶応大医学部で、米科学誌ネイチャー・メディシンへ発表した。

この研究チームは遺伝子操作と同じ効果がある化合物の開発に取り組んでおり、成功すればがん組織だけ退治する副作用の少ない新薬ができると期待されている。

2012年7月13日金曜日

血液1滴から早期大腸がんを発見する新手法

1滴の血液から早期の大腸がんをも発見する新手法が開発された。

大腸がんは食事の欧米化などが原因で増加傾向であり、国内では年間約4万5千人(2010年)が死亡。肺がん、胃がんに続いて、日本人のがんによる死因の3位となっている。

しかし、早期の大腸がんは治療できる可能性が高いものの自覚症状が無く、既存の検査法では便を採取して血液の有無を調べたり、がんが出す血中のタンパク質を調べたりしていたが、いずれもがん発見の精度は低いものだった。

新開発された新手法では、「メタボロミクス」と呼ばれる代謝物質の解析法によって、大腸がん患者の血液中に多いアスパラギン酸など4種類を数式化して判定する。従来の方法では診断が難しかった早期の大腸がんでも見分けられるため、大腸がんの早期発見早期治療が実現できる可能性が高い。

検証実験では、大腸がん患者60人と健康な60人とを比べ、アミノ酸の一種「アスパラギン酸」など4種類の物質について、いずれもがん患者の方が平均2~3倍多いことを発見した。

さらに、別の大腸がん患者と健康な人のそれぞれ約60人で検証すると、従来のがん指標となるタンパク質では早期がんの1割程度しか診断できなかったが、4種類の物質を使った診断法では8割以上が診断できたのだ。非常に高い検査精度だと言える。

今後は発見された4種類の物資を使ってさらに簡単に診断できる機器の製造・実用化が予定されており、その後には、胃がんや膵臓がんなどの早期診断法の開発が期待されている。

神戸大大学院医学研究科のグループが開発に成功し米科学誌プロスワンに発表した。