2012年7月13日金曜日

すい臓がん新治療法は臨床試験へ

治療が難しい膵臓(すいぞう)がんの患部に抗がん剤を効率よく届かせる新治療法が開発された。

新治療法では、フコースという糖を利用することで、抗がん剤を健康な細胞ではなく、がん細胞を狙って届ける。 膵臓がんの細胞がフコースを活発に取り込むことに着目したのだ。フコースを抗がん剤を包むリポソームという脂質膜に結合させて、がん細胞へ効果的に薬を運ぶことに成功した。

開発したグループによると、新治療法では抗がん剤の薬の量や副作用を大幅に減らせる。既にマウスを使った実験で効果が検証されたため、今後は臨床試験を進める予定。さらに、胃がんや大腸がん、胆道がんなどの抗がん剤治療にも応用が可能で期待は高まっている。

この膵臓がんの新治療法を開発したのは、札幌医科大の研究グループ。 膵臓がんは初期には自覚症状がなく、転移しやすい難治性のがんであり、国内の推計死者数は年間約2万2千人を超えており、抗がん剤新薬、新治療法のニーズが高い。

研究成果は、米オンライン科学誌プロスワンへ発表された。

2012年7月12日木曜日

酵素が原因で がん細胞が増殖・転移する

がん細胞の転移に大きな役割を果たす酵素が特定された。

発見・特定された酵素は、「ADAM28」。 ADAM28は肺がん中の細胞などで強く働いている酵素で、 ADAM28が血液中のVWFという分子を分解する。その結果、がん細胞はこのVWF分子が引き起こすはずの細胞死を免れ、自然死(アポトーシス)しないことが確認された。 がん細胞は通常、血管に入るとほとんどが死滅するが、一部のがん細胞が生き残ってしまうことが原因となって、他の臓器にがん転移していた。

マウスによる実証実験では、酵素ADAM28の働きを阻害すると、がんの転移を抑制できることが確認できた。この発見から、がんの増殖/転移を抑制できる有望な抗がん剤の開発が期待される。

当該研究の成果は、慶応大医学部の研究チームが米国立がん研究所雑誌へ発表した。

2012年7月11日水曜日

抗がん剤は対象外の副作用被害救済制度

抗がん剤の副作用被害に対する公的な救済制度の創設が先送りとなる可能性が高まっている。

抗がん剤の副作用被害救済制度」は、抗がん剤イレッサの副作用で被害を受けた患者遺族の訴訟を通じて、患者側から要望され、かつ、裁判所の和解勧告を拒んだ際に国が制度創設の検討を表明していた。

抗がん剤以外の医薬品に対しては、薬害・副作用で重い障害を負ったり死亡したりした場合に、医療費などが支払われる公的な制度があるが、 抗がん剤は対象外であったために、別の救済制度の創設が強く要望されていたものだ。

しかし、重い副作用が高い確率で起きることを前提として投与する抗がん剤に対して、制度の創設は難題が多く指摘された。「制度設計を急ぐと、かえってがん医療を委縮させてしまう」という慎重論は、国と製薬会社側の論理であり、とてもがん患者側の心情を汲んだものではない。

最低限でも「継続検討」として、早期の制度創設が期待される。

2012年7月10日火曜日

がん細胞の増殖を3分の1にする新薬

がん増殖を促す たんぱく質が特定・発見された。

発見された たんぱく質は「NRF2」。そもそもNRF2は、細胞をストレスから守る働きをするたんぱく質だが、がん細胞の中では 糖やアミノ酸の代謝を変化させることで、がん細胞の増殖を促していることが判明したのだ。

東北大学大学院医学系研究科のグループが、肺がん細胞内のDNAを解析することで、判明した。その結果、NRF2が糖類のグルコースやアミノ酸の一種であるグルタミンの代謝に影響を与え、代謝の過程を変化させることで、がん細胞を増殖させることが実証されたのだ。

さらに、がん細胞をマウスに注射した実験では、NRF2を減らす試薬を投与したマウスは、 NRF2減の試薬を投与しないマウスよりも がん細胞の増大が3分の1程度に抑制された。

以前から、NRF2が抗がん剤や放射線照射への抵抗性を持ちがん細胞の防御力を高めてしまうことは既知だったが、今回の研究で、NRF2が がん細胞の増殖自体に関連していることが確認された。

この発見により、がん細胞の増殖や悪性化の一因となる代謝の仕組みが解明され、新がん治療法、新薬の開発が進むものと期待されている。さらに、がん治療にとどまらず、NRF2を活性化させることで再生医療への応用も模索されている。

研究は米医学誌キャンサー・セルに発表された。

2012年7月5日木曜日

紅茶,コーヒーが効果的な皮膚がん予防に

皮膚がんの予防にカフェインが効果的であるとの研究報告が発表された。コーヒー、紅茶、チョコレートに含まれるカフェインは同様のがん予防効果があるのだそうだ。

研究では、20 年間以上に渡る男女 112,897 人を対象とした経過観察を分析した。すると、一日に 2 杯以上のコーヒーを飲む人は飲まない人と比較して、基底細胞がんの発症確率が 20 %も低いことが判明したのだ。カフェインが含まれれば同様のがん予防効果が期待できるため、コーヒーだけでなく紅茶やコーラ、チョコレートなどの食品でも予防策としては有効だ。ただし、カフェイン成分を含まないカフェインレスコーヒー(デカフェコーヒー)には がん予防の効果は期待できない。

皮膚細胞のDNAが紫外線が原因で損傷を受けると皮膚がんを発症しやすくなるのだが、カフェインを食すると損傷を受けがん化してしまった皮膚細胞を殺す作用効果があると推論されている。

研究成果は、ハーバード大Jiali Han 准教授らが発表した。

2012年7月4日水曜日

コーラの発がん性物質量はカリフォルニアより日本が多い

広く普及している炭酸飲料であるコカコーラに発ガン性物質が含まれていることが指摘された。

コカコーラに含まれている発ガン性物質は、4-メチルイミダゾール(4-MI)。この物質は、コカ・コーラのカラメル色素を製造する工程で砂糖,アンモニア,亜硫酸塩が高圧・高温となった化学反応で生成される化学物質である。

発ガン性物質4-MIの含有量は、コカ・コーラが販売される国で異なり、日本のコカコーラは、355ml換算で72マイクログラムだが、米国カリフォルニア州で販売されているコカコーラは4マイクログラムと、約18倍もの差がある。最も汚染されていたコカ・コーラは、ブラジルで販売されていた。

米国カリフォルニア州で販売されるコカコーラの4M-1が最も少ない理由は、米国カリフォルニア州には4-MIを含む食品の規制があるため、規制対応で発ガン性物質の量を抑えた製品となっている。

ただし、コカコーラの本当の問題点は、この発ガン性物質よりも、大きな健康リスクを伴う大量の糖分だ。これは、コカコーラだけでなく糖分を多く含む清涼飲料水の全てに共通する課題であり、清涼飲料水の飲み過ぎに警告が発生られている。

コカ・コーラが含む発がん性物質に関しては、アメリカの公益科学センター(CSPI Center for Science in the Public Interest)が発表した。

2012年7月2日月曜日

肝細胞がん新薬の治験

肝細胞がん新薬となるペプチドワクチン「ONO-7268MX1」が、第I相臨床試験の治験を開始する。

肝細胞がんは、日本での原発性肝臓がんの90%以上を占める。この肝臓がんで死亡する日本人は年間約3万人と多く、治療としては、手術による肝切除、ラジオ波焼灼療法や経皮的エタノール注入療法などの手術療法が中心。さらに化学療法や放射線療法での治療も試行されているが、効果は思わしくない。 肝臓がん、肝細胞がんの新たな治療法、新薬が待望されている。

治験が開始される肝臓がん新薬は、既存の標準療法に対して不応あるいは不耐の肝細胞がん患者を対象としている。

新薬の効能は、 肝細胞がんに特異的な免疫細胞である細胞傷害性T細胞を誘導することで、 がん細胞を叩き、抗腫瘍効果を発揮する。

臨床試験では新薬「ONO-7268MX1」の安全性と免疫反応も検証される。